先日、ある漫画を読みました。
「I KILL GIANTS」というアメコミで、映画化もされた作品。
なんとなーくアマゾンを徘徊していたら辿り着いて
なんとなく買って読んでみた。
まじで偶然なんだけど
これが思いがけずめちゃくちゃ自分に刺さる作品だったので驚きました。
刺さるというのは、好きとかハマるとかいうわけじゃなくて
過去の自分と強制的に向き合わされるような感覚
という意味での『刺さる』
英語のタイトルだけ見ると進撃の巨人みたいな少年漫画的なストーリーを想像するかもしれないけど
全くそういうわけじゃありません。
映画版の日本語タイトル「バーバラと心の巨人」の方が、この作品を表すタイトルとしてはわかりやすいと思う。
というかそのまんま。
タイトルでネタバレしとるw
以下「I KILL GIANTS」(バーバラと心の巨人)のネタバレが含まれるので
嫌な方は離脱をお願いします。
まず、私はこの漫画で号泣した。
なぜかというと、
この漫画の主人公バーバラが過去の私そのものだったから。
バーバラは、学校に友達がおらず、それどころかいじめられている。
年齢は明言されていないけど、おそらく13~14歳かな。
言動は独特で、卑屈で反抗的。
先生には完全に問題児扱いされている。
攻撃的な不思議ちゃん、という感じ。
ネタバレすると、バーバラのお母さんはガンを患っていて余命わずか。
バーバラはその現実から目を背け、
お母さんがいる部屋に巨人がいると言って(妄想して)
巨人を倒すと言っていた(お母さんの死を拒絶していた)というわけ。
結果としては巨人を倒し(恐怖をのりこえ)
お母さんの病気を受け入れ、
亡くなる前に一緒に過ごすことができた。
この物語の中での「巨人」とは、
お母さんを失うことへの恐怖ですね。
だから「心の巨人」という邦題がつけられたわけです。
私も高校生の時、母ががんを患いました。
その時のことを思い出そうとしてもあまり思い出せなくて
何を考えていたのかも正直覚えていません。
というか、思考が停止していた気がする。
私には、バーバラの物語のように
手を差し伸べてくれる先生のような大人はいませんでした。
痛みを分かち合える家族もいませんでした。
父は一緒に住んでいたけれど、思春期の女の子のメンタルケアなんてできるような人ではなく。
兄は大学に進学していて、実家にいなかったし。
ていうか母が病気になったのは、
グレまくっていた兄が苦労をかけたからだろうと今でもうっすら恨んでいる。
兄もあの時どんな気持ちだったのかわからない。
祖父母は近くに住んでいたけど
まあ祖父母から見たら自分の娘が死にかけている状況なので
孫にまで気を配っている場合ではなかっただろう。
むしろ母を献身的にサポートしない私にイライラしているように見えた。
学校ではいじめられるほどではないけど
相変わらずブスすぎて男子から嫌われていたし
その時のクラスメイトの雰囲気も合わなかった。
友達でいてくれる子もいたけれど、そこまで深い話をできるほどではなかった。
だから誰にも母の話をしなかった。
泣いた記憶もない。
誰かに弱音を吐いたこともないし
ひとりでいる時ですら泣いた記憶がない。
そのちょっと前に飼い猫を亡くした時はわんわん泣いたのに。
何を考えていたのかも思い出せないのね。
バーバラも周囲に対して攻撃的な女の子なんだけど
私もそのころ、すごく攻撃的だったのは覚えてる。
まさにあの頃の私だった。
思春期の頃の攻撃性って、自分の精神を守るためのものなんだよね。
その時私はすでに高校生だったから、自分でなんとかしないといけないと思っていた。
巨人と戦えるのは私だけ、他の人には巨人が見えてすらいない、と一人で自分の世界にのめり込むバーバラ。
バーバラの姿があの頃の自分と完全に一致して
めちゃくちゃ泣いた。
ほんとうにそのまんま。
それで
あ、あの時の私もきっとめちゃくちゃ怖かったんだな、って気づいた。
母が死ぬかもしれない、という現実からずっと目を背け続けていた。
そして、そこから救い出してくれるような人が現れる…
みたいなこともなく。
まあ人生そんなもんだ。
うつ病を患ったことがある人もよく言う。
「いつかだれかが助けてくれる…なんてことはない」
で、高校生の頃の自分を助けに行けるのは
今の自分しかいない、って思った。
バーバラの話を読んで涙を流しているのは、あの頃の私だ。
そりゃ今だってわざわざ泣きたくはないけれど、
また抑え込むわけにはいかないから、
あの頃の私の代わりに今の私が泣くしかない。
蓋をしていた恐怖を、私がかわりに感じるしかない。
そんであの時本当は言いたかったはずの言葉を吐くしかない。
今はそれをやっている段階です。
きっと全部出し切ったら大丈夫だと思います。
ちなみにこれが高2の時の話で
高3の時には第一希望の大学の試験日前日に父が死にかけるという出来事がありました。
英単語帳を抱えて泣きながら寝た記憶がある。
高校生の頃の私、災難続きすぎィ!w
とか言える程度にはなりました。
ちなみに父も母も無事生還し、今は元気です。
本当に、この作品に出会えてよかったです。
これを消化する準備ができたから出会うことができたんだ、ということにしておこうと思います。
周りに目をむけてみたら
世界はきっと愛のあるメッセージをくれる。
それは人を介して届けられるとは限らなくて
こういう作品や、知らない人の言葉でもいいんだと思います。
そんな感じで
過去のトラウマや深く傷ついた経験のあるひとは
すこしだけ周りを見回してみてください。
もし誰にも救われなかったとしても、
今の自分が救いに行こう。